もっとレザークラフトを手軽にできたらいいのに

会社の知人の影響で、初めて財布を自分で作ってみた。

浅草橋に行き、革を買う。浅草橋で降りるのは初めてだったが、山手線の一歩外側に、こんな世界があるなんて知らなかった。一つ数百円〜数千円程度の皮切ればかりがひたすら積まれている店が、駅の周辺に4-5軒あった。

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皮切れは割と無秩序に積まれており、そこから目当ての色と質感・薄さ・硬さを持つ皮を探すのは結構大変だったが、これはこれで楽しい。中古楽器屋だったりクラシックカメラ屋に行くのと同じような楽しさがあった。

皮を買ったら、帰りに東急ハンズに寄ってジャンパーピンと工具を買う。なお、注意していたが、サイズの合わない工具を買ってしまったので、後日買い直しにいく羽目になった。最初なので仕方がない。

数年前だったら、何か新しいことを始める時は、教本を買っていたと思うが、最近はもっぱら検索で出てきたウェブサイトや動画を頼るようになってしまった。今回も、教本やキットを買う、という発想に至らず、ウェブサイトや動画を頼りに、自分で適当に設計をして、適当に作り始める形になった。その結果、終盤で全体を大きく適当に切り直して辻褄を合わせたり、えらく縫いにくい手順になったり、結構非効率的な作業が発生したが、何とか完成した。

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 寸法を決めるところから自分でやってみて、色々と学ぶところはあった。まず何より、何気なく使っている市販の財布が、実はよく作られていること。端の細かい折り目だったり、薄くするための工夫だったり、強度を得るための見えないところの裏地だったり、そういう部分は自分で作るまで気にしたことはなかった。

今回財布を作ってみて、楽しかった部分は下記のような感じだ。

  1. どんな機能が欲しいのかを考えて、必要なものだけを取り込んだ設計をする
  2. 好みにあった素材を買いに行く
  3. 素材が少しずつ財布らしくなっていく過程
  4. 反省点と、それを踏まえて次回はもっとうまく作れる、という手応え

一方で、楽しくなかった部分はこんなところだ。

  1. 穴を開けるのが大変
  2. 穴を開けるのが近所迷惑(うるさいので)
  3. 夜に作業できない(うるさいので)
  4. 縫うのに時間がかかる

一言で言ってしまえば、穴を開けて縫う、という作業はあまり楽しくなかった。大変なわりに、あまり創造性が入り込まない作業だったからだ。(経験を積めば、そんなこともないのかもしれないが)100%の姿(規則正しく、綺麗に無駄なく穴が開いて糸が通る)に対して、どれくらい失敗せずに作れるか、という作業だったので、マイナス部分ばかりが見えてきて楽しくない。

そして何より、厚い生地に対して穴を開けるには、結構な力で菱打ちを金槌で叩かなければいけないので、怪我をしそうで怖い。

何が必要か考えて設計して素材を選ぶところまでは文句なしに楽しいので、設計図を作って革を入れたら、自動的に穴だけ開けてくれる機械があればいいのに。できれば縫うところまでやって欲しいが、革を縫い合わせるだけならまだしも、小銭入れのような複雑な立体構造を縫うのは結構大変だろう。

調べてみたところ、革をレーザーカッターで加工することは可能らしい。

www.youtube.com

渋谷のFabcafeでも裁断できるらしいので、今度行ってみよう。穴あけまでできるだろうか。

あと、今回出来上がったものを見てみると、「もっとここは薄い素材を探せばよかった」とか「ここの余白は無駄だった」、「もっとこうしていれば、コンパクトに縫えた」というような反省点が色々ある。多分いくつか数を作れば、その辺りの知見が溜まっていくのだろうけれども、そこにたどり着くまでに飽きてしまいそうな気もする。

設計に関する知見は、ある程度パターン化できそうな気もするので、「こういう財布を作りたい」というざっくりとした指定をすると、そのリクエストに合わせて細かい設計をしてくれるアプリ・サービスとかあったらいいかもしれない。難しいことをやらなくても、エキスパートシステムとかでもある程度実用的なものが作れそうだ。

そこから、設計したものに必要な素材を、レーザーカッターで切った状態で配達してくれるサービスとかあったら最高だ。もしかしたら、設計は細かくできなくても、キットで各部分の素材だけを指定できる程度でも良いのかもしれない。それなら割と実現は容易な気もする。

…ビジネスとしては儲からなそうだけど。